【現場猫】「ヨシ!」と指差し確認する猫の元ネタと解説。コラ画像から現場猫へミーム化は共感を呼んだからか

現場猫と呼ばれる「ヨシ!」と指差しをしているネコの画像の元ネタについて詳細と考察。元々は電話猫でしたが、徐々に進化していきました。

ヨシ!の「現場猫」は元々2016年の「電話猫」が派生していったもの。コラージュで色々な絵が作られた結果1つの現象に発展

引用元:naver.jp

最近Twitterなどで良く見かける「現場猫」をご存知でしょうか。

白とグレーの工事ヘルメットを被った猫が右手で「ヨシ!」と指差し確認していながらも、その目はどこか虚ろげで、大抵やってはいけないことを見落としていながらもヨシ!と言っているのが特徴

ものすごく可愛いというわけでもないのに、妙に忘れられないクセになってしまうキャラクターです。

この現場猫には実に様々なバリエーションがあって、Twitterなどで「現場猫」と画像検索するとほぼ大惨事になっているのですが、今や1つのミームになってしまっていながらもこの現場猫の元ネタを知っている人はあまり多くないかもしれません。

現場猫の元ネタは「電話猫」

現場猫が誕生するまでを順を追って見てみましょう。まずことの起こりは2016年8月にまで遡ります。

この猫自体、「くまねみ」さんが2016年8月25日にTwitterにアップした「夜中科学電話相談」というのが元祖です。受話器を取って「どうして夜中に起きてるんですか?」と猫が言っている画像。

特に名称自体は無かったようですが、これが自然と「電話猫」として定着していきました。この時点でほとんどネコの原型は完成されており、どことなく虚ろな表情も現場猫のものといえます。

電話猫の妙に癖になるイラストが一部で話題になりはじめ、画像掲示板「ふたば☆ちゃんねる」では電話猫を基にした電話猫コラージュ画像がいくつも作られるようになっていきます。

しかしまだヘルメットはなく、ヨシ!の台詞もありませんでした。

電話猫から「現場猫」への発展。素材を継ぎ接ぎしたキメラ的な誕生

こうしたコラージュの流れの中で、電話猫自体の要素に他の素材を付け足す流れが発生。この流れが今に伝わる「現場猫」が生まれるきっかけとなります。

引用元:sozaing.com

使われた素材は、

  • 素材サイト「ソザイング」の「人型オブジェクト/怒る
  • 緑十字のついた工事用ヘルメット(こちらは出所が不明)
  • 中央労働災害防止協会(中災防)の「指差し呼称シール(ヨシだ君)」などに描かれている「ヨシ!」の文字と構図

これらのもので、全部をあわせていった結果、

引用元:naver.jp

このお馴染みの「現場猫」が誕生することになりました。ヨシ!と言っているときの妙なポージングは、元々怒っているときのポーズだったからなんですね。

それぞれの素材を継ぎ接ぎして付け足していった結果生まれたキャラクターなので、その過程は少々キメラ的なものと評しても良いでしょう。

前述したように総じて現場猫は「ヨシ!」と言っているにもかかわらず、次の瞬間にも労働災害に発展しそうな状況であることがほとんどです。

こうしたシュールさが話題を呼び、業種を問わず色々な場所をネタにした画像が作成されていき、1つのミームとして形を成しました。

現場猫が広まったのは労働災害への意識や、現場あるあるが共感されたためか。現場猫を通じて気をつけていきたい労災意識

しかし商業マーケティングでもない自然発生の現場猫はどうしてじわじわと広まっていったのでしょうか。その点について考えてみましょう。

工場や現場で作業されている方は、日々危険と隣り合わせの状況で仕事をされています。そうした中で、常識では考えられないような指示や行動により、労働災害が引き起こされるケースが多くあります

奈良県フォークリフトでパレット37枚重ね天井照明交換転落死事故

例えば極端な例で記憶に新しいのは2017年8月に奈良県で発生した転落死事故。

引用元:奈良テレビ放送

この事故は、フォークリフトに厚さ15センチの木製パレットを37枚も重ねて、その上に乗り天井の照明を交換していた際、バランスを崩して落下して男性社員が死亡したという事故です。フォークリフト+パレット37枚分でおよそ6メートル近くから落下したことになりますね。

冗談のように思えますが本当に起きた事故です。痛ましい事故ではあるものの、そもそもフォークリフトやパレットはそのような使い方をするものではありませんし、普通に考えたらこうなる危険は予測できたはずです。

しかし、それは客観的な意見であって「現場」ではそういう感性は無視、あるいは軽視されがちです。この事故例はかなり極端なもので話題になりましたが、特に工場勤務されていたりする方は多かれ少なかれこのような本来の手順や動作、用途を無視する指示を受けたりしたことがあるのではないでしょうか。

現場猫は前述したように総じて大惨事の一歩手前か事後であることが多いのですが、現場猫のバリエーションが豊富で様々な業種に改変されて広まっているのはやはり現場での矛盾や疑問が現場猫を通して共感を呼んだからなのかもしれません。

自然発生的に流行した「現場猫」を通して労災だけでなく、基本に忠実な行いを心がけたい

現場猫はそのシュールさが受け入れられて様々な発展をしていったわけですが、そこには失敗例や戒めとしての意味もあったと思います。

現場猫の場面をみて、「パンチの効いたジョークだ」と笑えるならば、それは正常な感性や常識を持っている証拠かもしれませんね。

「あるある」と妙に納得してしまう場合は、結構危険な状態ともいえます。一歩間違えば労働災害になってしまうということを、改めて意識するきっかけにしてみましょう!

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