ヴィンテージ物、ビンテージワイン……なんとなく古いっぽい曖昧な意味で使っていませんか?本来の意味と正しい使い方について。
ヴィンテージ。なんとなく古い、由緒正しいイメージが付くのは厳格なワインのルールとその価値が高いことにある
日常の会話の中でもたまに登場する「ビンテージ」という言葉。
例えばこれは「ビンテージ物だよ」などと使われますが、何となく「古いっぽい感じ」や「高級そう」で認識している人が多いのではないでしょうか。
なぜそのようなイメージが付いていったのかを見てみましょう!
ビンテージ(vintage)の本来の意味はワインの収穫年
そもそもビンテージ(vintage)の語源は「ぶどうの収穫」からきており、使われ方としては「ビンテージワイン」のように使われています。
ワインにおいてのビンテージとは「ぶどうの収穫年」のことを指しています。つまり、2017とワインのビンテージ表記にあれば、それはビンテージワインです。このことから、ただちにビンテージ=古いという使われ方をするのは本来間違いということになります。
もちろん値段が安かったとしてもたった数年前のものでもビンテージ。しかし、世間一般的には古いイメージや高級なイメージが付いて回りますよね。
それはビンテージが良いワインや価値のあるワインのために重要な材料となっているからです。
ワインの原料となるぶどうは農作物ですから、豊作のときもあれば不作のときもあってぶどうの品質もいつも一定とはいきません。
ビンテージはそのワインを造る国によってルールがあって、その年に獲れたぶどうを何パーセント使っているかという基準をクリアしなくてはならないのです。
例えば、チリは75%以上、EUの加盟国であれば85%以上、アメリカの場合であればA.V.A.(アメリカ政府認定指定栽培地域)で95%以上でなくてはなりません。
もっとも厳しいのはフランス・シャンパーニュ地方で、その年に収穫されたぶどうが100%使用されていなければ「ビンテージ」を名乗ることは許されないのです。
ビンテージワインは、じっくりと熟成させます。熟成させることによって味に深みや丸み、繊細さが現れるようになるからです。熟成期間は物によりますが、10年~15年などの長い歳月をかけてワインを熟成させていくのです。こういったワインを「オールドビンテージ」と呼びます。
そして特にぶどうの出来が素晴らしく良かった年のビンテージワインは、とても価値のあるものになっていくというわけです。値段は1本数万円~10万以上するものまで実に様々。
このように長期間熟成、高額なビンテージワインというのは話題性も強く、広く一般にも伝わっていくために、「ビンテージ」=「高級・古いもの」というイメージが付いているのでしょう。
「ビンテージ」は由緒あり古いゆえに価値のあるもの
前述のように、ビンテージワインはルールのもとでその年に獲れたぶどうで作ったことを明示するものです。
このことから、「ヴィンテージ」という言葉に高級、古い、そして由緒正しいといった意味合いを持たせて使う人が多いわけです。
その分野はワインに留まらず、ファッションや音楽などにも及びます。例えば、「ヴィンテージデニム」だとか、「ヴィンテージギター」といったように年代物で価値のあるもの、出所がはっきりしているものなどに広く使われています。
ただ単に古いというのではなくて、「価値があるから大切にされ、大切にされるからこそ長く保存されてきたもの」を指して使うときこそ、「ビンテージ」がぴったりなのではないでしょうか。
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