「アンティーク家具」といった使われ方をしますが、実はアンティークには100年以上前のものという規定が存在します。それについて詳細をみてみましょう。
アンティークはただ古いだけじゃなく、100年以上前のものでないと名乗れない!アメリカ関税法が原点となる
日常会話の中でも「アンティーク」という言葉は結構使うと思いますが、なんとなく古くて、気品のありそうなものを指して使う場合が多いかもしれません。
具体的に製造からどのくらいの年数が経っていれば「アンティーク」と名乗って良いのでしょうか。実はこれにはちゃんと定義が存在しました。
アンティークは「100年」を経過したものと関税法でルールになっていた
アンティークと呼べるものには定義が一応あって、それは製造から100年以上経過していることが条件になっているのです。
つまり、2018年現在からすれば1918年以前のものはアンティークなものとなるわけです。意外に近代的なものまでその範疇に含まれてしまうことに驚きですよね。
ではこの100年以上前というのはどこから出てきて誰が定めたのかというのが疑問ですが、元を辿ると1934年にアメリカ合衆国で制定された「通商関税法」という法律が出てきます。
これには、
製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品
引用元:Wikipedia
がアンティークであると記されていて、その取引には関税がかかりませんよということになっているのです。
この1934年に制定された関税法をWTO(世界貿易機関)でも採用することとなり、加盟国の間では100年以上前のものであると証明できれば関税がかからないことになっています。私たちの日本もWTO加盟国なので、このルールが適用されています。
こうして今日でも、アンティーク=100年以上前のものという認識が世界で共通ということになっているのです。
関税法だけでアンティークを決めて良いのか?年数だけではない芸術性を見るという意見もある
前述のとおりアンティークには定義があって、国際的なルールとして明文化されています。取引をする以上、こういった条件は必要となるでしょう。ですから一律に100年という期間で区切ったのだと思います。
ただ、この定義はあくまで関税法上のもので、学術的や文化的な側面から見れば一概に100年=アンティークとはしない方が良いという意見もあります。
例えば粗悪な対して価値のないものであっても、一律してアンティークの品と呼べてしまうは少し違和感を感じるのではないでしょうか。
本来、その時代や文化を反映させた芸術品などが珍重されてきたからこそ、原型を留めたまま今の時代まで残るわけですから、アンティーク=価値のある貴重なものというイメージは決して間違ってはいないはずです。
その時代の芸術性や文化が詰まった品を直に触れることができるからこそ価値があり、アンティークと呼べるのかもしれません。これはルールがというよりも、より精神的・概念的なものです。
ですから、もし90年前の物だったとしても素晴らしい技巧が施された品であれば、それはアンティークと呼んでも差し支えないのではと思います。
ただ単に100年経過して古いからアンティークとも呼べますが、そこに詰まっている文化を指して呼ぶのもまた正しいことでしょう。
もしこのアンティークの定義について、「自分はこう思うな」と考えさせられる品物を見つけたとき、それこそ本当のアンティークな品なのかもしれませんね。
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